矢野玲子、大津文子、後藤信之
背景:本研究では、市販承認時および市販承認後に潜在的に重大なリスクに関する薬剤情報を提供するために、CARPIS から抽出した原因薬剤の物理化学的特性と薬剤誘発性腎毒性との関連性を調査しました。
方法:腎毒性関連薬剤を症例薬剤群(126剤)とし、それ以外の薬剤を対照薬剤群(915剤)とし、群の物理化学的性質を比較した。各調査項目について単変量ロジスティック回帰分析を行い、単変量ロジスティック回帰分析でp<0.2であった項目については多変量ステップワイズロジスティック回帰分析を行った。
結果: logP値を使用するモデル1では、pKaが7未満のオッズ比は2.46、7-8未満のオッズ比は2.01でした。logP値が0未満のオッズ比は1.67でした。MWが300-400未満のオッズ比は0.57でした。logD値を使用するモデル2では、logDが0未満のオッズ比は2.23でした。pKaが7未満のオッズ比は2.34、7-8未満のオッズ比は2.04でした。MWが300-400未満のオッズ比は0.56でした。
結論:結果は、水溶性薬剤に関連する腎障害のリスクを明確に示しました。この情報は、薬剤の承認時および市販後に水溶性薬剤に関連する腎障害の潜在的なリスクを考慮し、情報不足を補うために役立つ可能性があります。