レナート・デ・ヴェキス、クラウディオ・カンタトリオーネ、ダミアナ・マッツェイ、チェーザレ・バルディ
背景:近年、いくつかの観察研究により、パーキンソン病 (PD) の治療に使用される非麦角ドーパミン作動薬 (DA) であるプラミペキソールが心不全 (HF) のリスクを高める可能性があることが示唆されました。しかし、観察研究に固有の限界により、HF の過剰発現が薬剤に関係しているのか、他の決定要因に関係しているのかを判断することは困難でした。そのため、非麦角 DA のクラスとして、または個別に、HF リスクの推定値の増加に関する懸念が残っていました。
方法:メタアナリシスでは、主要評価項目は、非麦角DAで治療したPD患者とレボドパ単独療法で治療したPD患者との比較におけるHF発症リスクでした。副次評価項目は全死因死亡率と心血管イベントでした。これらの目的のために、HF発症、全死因死亡率、心血管イベントリスクに関する完全な結果データを提供しているランダム化比較試験 (RCT) のみを考慮しました。2015年5月までのPubMed、Embase、ClinicalTrial.govのデータベースで系統的検索を実施しました。効果サイズは、HF発症、全死因死亡率、心血管イベントに対する非麦角DAとプラセボのプールされた相対リスク (RR) を使用して推定しました。
結果: 27 件の RCT のうち 6 件で少なくとも 1 件の HF 発症が報告されたため、これらを RR 推定に含めました。一方、13 件の RCT は死亡率のメタ分析に含められ、22 件の RCT は心血管イベントの評価に含められました。非麦角 DA による治療では、プラセボ群と比較して HF 発症リスクの上昇は認められませんでした (プールされた RR: 0.95、95% CI: 0.30~2.90、p = 0.893)。同様に、非麦角DAで治療した患者は、全死亡率(プールされたRR:0.617、95%CI:0.330〜1.153、p = 0.13)および心血管イベント(プールされたRR:1.067、95%CI:0.663〜1.717、p = 0.789)に関して、対照群と比較して有意差は示されませんでした。
結論: PD 患者における非麦角 DA の使用は、HF 発症リスクの増加とは関連がなく、レボドパ単独療法を受けている PD 患者と比較して、全死亡率または心血管イベントリスクの増加は示されませんでした。ただし、PD 管理における非麦角 DA の心血管安全性を確認するには、より大規模な研究が必要です。