糸井尚子、阿部肇、森剛志、河合由紀、窪田好弘、梅田智子、谷徹
背景:水に溶けにくい性質を持つ無水エタノールを添加剤として含む製剤は、パクリタキセル(PTX)、ドセタキセル(DOC)、エリブリンなどの化学療法剤に頻繁に使用されている。これらの薬剤を選択する際には、アルコールの中枢神経系(CNS)への影響を考慮する必要がある。本研究では、これらの薬剤を投与された日本人乳がん患者の呼気中アルコール濃度(BAC)を測定した。
方法:アルコール含有薬剤による外来化学療法を受けている日本人乳がん患者を登録した。BACは点滴直後、30分後、60分後に測定した。
結果:本研究には31人の女性患者が登録された。投与直後に呼気アルコールが検出された患者は18人(58%)で、PTXでは6人(75%)、DOCでは10人(50%)、エリブリンでは2人(67%)であった。 30分後、血中アルコール濃度が0.15 mg/Lを超える患者はいなかったが、60分後にはPTX投与群1名とDOC投与群1名で呼気中アルコール濃度が0.1 mg/L未満であった。
結論:投与後60分以上でアルコールの影響は消失する可能性があり、この時点では安全に帰宅できる可能性がある。