藤本舞、樋口智也、細見康一、高田光隆
背景:スタチンの使用が排尿障害の発症と関連しているかどうかは不明です。スタチンの使用と貯留性下部尿路症状 (LUTS) のリスクとの関連を調べるために、請求データベースでデータマイニングを実施しました。
方法: 2005 年 1 月から 2011 年 12 月までの期間にスタチンを使用した後の蓄積 LUTS のリスクを特定するために対称性分析を実施しました。蓄積 LUTS の治療薬と併用したスタチンの使用は、処方シーケンス対称性分析によって調べられました。同様に、イベント シーケンス対称性分析を実施して、スタチンの使用と蓄積 LUTS および過活動膀胱(OAB) の診断との関連性を評価しました。
結果:スタチンの使用と貯蔵LUTSの薬剤との有意な関連性が認められ、6か月間隔での調整シーケンス比(ASR)は1.58(1.08-2.33)であった。OAB治療薬のみの解析では、有意な関連性が認められ、6か月間隔と12か月間隔でのASRはそれぞれ1.82(1.14-2.97)、1.47(1.06-2.04)であった。個々のスタチンとOAB治療薬の解析では、プラバスタチンで有意な関連性が認められ、6か月間隔でのASRは2.66(1.15-6.88)であったが、他のスタチンでは認められなかった。 OAB の診断の分析では、スタチン使用者について有意な関連性が認められ、6 か月間隔と 12 か月間隔での ASR はそれぞれ 2.00 (1.18-3.50) と 1.58 (1.10-2.28) でした。
結論:クレームデータベースの分析により、スタチンが蓄積 LUTS の新たな発症と関連している可能性があることが実証されました。スタチン関連の蓄積 LUTS は臨床診療において綿密に監視する必要があり、私たちの研究結果を確認し、スタチン関連の蓄積 LUTS のメカニズムを解明するにはさらなる研究が必要です。