マムヌル・ラシッド、秋葉陽介、江口香織、秋葉奈美、賀来勝、長澤正子、魚島勝己
背景:歯科インプラントで成功するには、十分な骨の質と量が必要です。これまでに数多くの骨増強法が報告され、臨床で使用され、ある程度の成功例を示していますが、より信頼性の高い方法が求められています。抗てんかん薬およびヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として知られるバルプロ酸(VPA)は、in vitroでRunx2活性化を介して骨芽細胞分化を制御します。本研究は、ラットの上顎骨空洞における骨再生に対するVPAの全身投与の効果を評価することを目的としました。
材料と方法:実験には 54 匹の Wistar ラットを使用しました。上顎第一大臼歯と第二大臼歯は 4 週間で抜歯しました。抜歯後 3 週間で、実験群には VPA を腹腔内 (IP) 注射し、対照群には第一大臼歯領域の骨空洞を形成する前に 7 日間生理食塩水を IP 注射しました。ラットは 3、7、14、21 日目に屠殺され、マイクロ CT および組織学的分析用にサンプルが準備され、血清アルカリホスファターゼ (ALP) 活性が測定されました。VPA または生理食塩水を注射してから 7 日後、骨髄由来細胞をマイクロアレイ分析用に補正しました。
結果:マイクロ CT 分析と組織学的観察により、実験群では対照群と比較して、7、14、21 日目に新生骨の量、骨体積率 (BV/TV)、骨梁厚 (Tb.Th) が高く、骨梁分離 (Tb.Sp) が小さいことが確認されました。VPA を投与された動物は、7、14、21 日目に対照群よりも有意に高い ALP 活性を示しました。マイクロアレイ分析から、26 個の遺伝子の発現が有意に変化していることが示されました。
結論: VPA の全身投与によりラットの上顎骨空洞における骨再生が促進されたことから、VPA 注射は骨増強療法に有用である可能性がある。