梅津美紀、大塚耕太郎、遠藤仁、吉岡康仁、小泉史人、水貝あゆみ、大沼良文、三田俊成、工藤薫、三条克己、福本健太郎、中村光、酒井昭雄、遠藤重篤
【背景】本研究の目的は、緊急入院した自殺企図患者を全般評価尺度(GAS)得点により分類し、各患者群の特徴と関連要因を明らかにすることである。 【方法】2006年4月1日から7年間に岩手医科大学附属病院一次・二次救急科および岩手高度救命救急センターを受診した自殺企図者1,317名を対象とした。対象者を低得点群、中得点群、高得点群の3群に分類し、背景要因および救急精神科ケースカードの精神医学的評価について比較検討した。3群間の比較検討を行い、調査項目を説明変数、3つのGAS得点群を従属変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。 【結果】低得点群に関連する要因は、男性、高齢、無職、ライフイベント値が高いことであった。このグループが自殺を完遂する確率は、他の 2 つのグループよりも 5 倍以上高かった。過去の自殺未遂歴は、中スコア グループに関連する要因として抽出された。高スコア グループに関連する要因には、女性であること、年齢が若いこと、定期的な精神科受診歴がない、自殺未遂前にアドバイスを求めていたこと、複雑な動機が含まれた。結論: この論文では、緊急入院した自殺未遂者の GAS スコア レベルに応じた特徴を特定し、個々の患者の GAS スコアに応じて講じるべき具体的な対策を提案した。自殺未遂者が関与する緊急の状況では、患者の全体的な評価と評価結果に応じた治療が、さらなる自殺未遂の防止につながる可能性があることが示唆された。