浮村昭、大井幸正、神崎由美子
重症インフルエンザは心筋炎を引き起こすことがある。ペラミビルのインフルエンザA(H1N1pdm)ウイルス心筋炎に対する効果を分析するため、マウスインフルエンザA(H1N1pdm)ウイルス誘発心筋炎における生存率、心機能、組織学的所見およびサイトカイン誘導を調べた。8週齢のBALB/c雄マウスにインフルエンザA(H1N1pdm)ウイルスを鼻腔内感染させ、生理食塩水を注射した対照群とペラミビルを投与したペラミビル投与群の2群に分けた。組織学的研究、心エコー図、炎症性サイトカインおよび接着分子のウイルスRNAおよびmRNAの定量分析を実施した。ペラミビル投与により生存率が有意に改善した(対照群に対してp<0.01)。ペラミビル投与群の心筋短縮率(FS)(44.7%、p<0.01)は、8日目に対照群(27.7%)より有意に高かった。組織学的検査では、リンパ球浸潤を伴う局所性心筋炎が明らかになり、心筋炎病変は血管周囲領域に、または心膜炎に関連して見られ、ペラミビルによる治療によりこれらの所見は改善された。心臓および肺組織におけるインフルエンザウイルスゲノムの量は、ペラミビル投与群で抑制された。サイトカインおよび接着分子mRNAの発現は、ペラミビル投与群で抑制された。ペラミビルは、インフルエンザA(H1N1pdm)ウイルス誘発性心筋炎を改善した。