菅谷勉*、夏塚めぐみ、本木洋司、井上可奈、田中沙織、宮地博文、川浪正光、坂上竜二
目的:この後ろ向き研究の目的は、垂直に破折した歯根を接着する前に根管を通って破折線を準備することで歯周炎が改善するかどうかを調査することであった。
方法:垂直に歯根が破折していると診断され、破折部を根管で封鎖した患者 81 名から計 83 本の歯を使用した。準備群(n=60) では、顕微鏡下で超音波チップを使用して破折線を準備し、4-META/MMA-TBB 樹脂を使用して破折部を接着した。非準備群 (n=23) では、破折線の準備は行わなかった。1 ~ 2 ヶ月後に再評価を行った。患者は、プロービングの深さ、副鼻腔管および膿瘍の有無について臨床検査を受け、骨欠損の改善を評価するためにレントゲン写真を撮影した。
結果:治療前後の非形成群のプロービングデプスを比較すると、有意差はなかった(p=0.13)が、形成群では治療後にプロービングデプスが有意に浅くなった(p<0.001)。治療前に骨欠損が生じていた歯では、非形成群では13歯中8歯(61.5%)、形成群では41歯中33歯(80.5%)で骨欠損の消失または減少が見られ、非形成群と比較して形成群で有意に改善した(p=0.008)。
結論:この結果は、垂直に破折した歯根を封鎖する前に根管を通して破折線を準備することが、歯周炎の解決に効果的である可能性があることを示唆している。