新村和也、後藤正則、ホンタオ、杉村春彦
要約
8-ヒドロキシグアニン(8OHG)はグアニンの酸化型であり、DNA内で8OHGが形成されると、8OHGはシトシンだけでなくアデニンとも対合できるため、G:CからT:Aへの転座変異を引き起こす。塩基除去修復遺伝子MUTYHは、8OHGと誤って対合したアデニンのDNAグリコシラーゼをコードし、したがって8OHGによって引き起こされる変異の予防に関与している。MUTYH遺伝子の両対立遺伝子変異は、遺伝性疾患であり、多発性大腸腺腫および癌の素因を特徴とするMUTYH関連ポリポーシス(MAP)の原因である。この記事では、8OHGに対するMUTYHの修復機能、MUTYH変異体の機能的特徴、MAP腫瘍の特徴、およびMAP患者の管理について概説する。