新谷 秀
血液製剤中の内分泌かく乱物質モノ-(2-エチルヘキシル)フタル酸エステル(MEHP)およびジ-(2-エチルヘキシル)フタル酸エステル(DEHP)の分析のために、自動固相抽出(SPE)による前処理と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を組み合わせた方法が開発された。分析を成功させるには、酸性化した血液と酸性化したSPE溶出液を使用してMEHPおよびフタル酸(PA)のイオン化を抑制する必要があり、ポリ塩化ビニル(PVC)製の柔軟な血液バッグから血液製剤に移行するPA、MEHP、およびDEHPの量を測定した。血液に内因性血液リパーゼおよびエステラーゼの阻害剤を添加することにより、ヒト血漿で検出されたMEHPの大部分は柔軟なPVCバッグに直接由来するものではなく、これらの酵素がDEHPに作用して生成したものであることが示された。エステラーゼの加水分解活性はリパーゼ活性よりも大きかった。