高木祐希、佐々木正人、仁科良明、石田恭平、飯塚幸憲、逗子達也、久保康夫2
製鉄・製鋼工程では、多くの種類の耐火物が使用されている。これらは使用後に副産物として排出され、リサイクル可能な有価物を多く含んでいる。しかし、これらの材料には不純物が混入しており、リサイクルには課題がある。本研究では、多くの種類の耐火物の中から高炉樋に使用される耐火物に着目した。高炉樋の耐火物は、有価物である炭化ケイ素とアルミナから構成されており、建設費の約40%が使用後に使用済み耐火物として排出されている。使用済み耐火物には、使用中に耐火物の表面に付着するスラグが5~10%含まれている。スラグの主成分である酸化カルシウムは、リサイクル耐火物の性能を低下させる原因となる。リサイクル耐火物の性能を確保するには、スラグ含有量を2.0%まで低減する必要がある。スラグと使用耐火物の密度差に着目し、流動層での浮沈現象を利用した新しい分離方式を開発した。本方式は、密度を調整した粉体のみを使用し、底面から空気を吹き付ける方式であるため、従来の湿式密度分離方式よりも環境負荷が低い。連続処理装置を製作し、スラグと耐火物の密度に調整した流動層を用いて連続分離試験を行った結果、スラグ含有量を0.4%まで低減することに成功し、目標値を達成した。