市石英一郎、大竹隆明、佐藤貴一、向後裕
酸化ストレスと疾患の評価は基礎科学において著しく進歩・発展し、また最近では臨床レベルでの様々な予防・治療の試みがなされ、医療現場の進歩は目覚ましいものがある。本稿では、日本および諸外国の最近の話題を紹介し、日本の酸化ストレス経路と健康食品開発に関する報告、分子状水素の現状と課題、臨床現場で注目される酸化ストレスマーカー、酸化ストレスと免疫システムに関する最近の知見、再生医療における新たな展開について概説する。以上の臨床現場の発展と酸化ストレスの応用における問題点は、酸化ストレス軽減に効果があるとされる健康食品や飲料は既に市場に出回っているが、科学的根拠に乏しく、その効果に疑問が残るものも少なくないことである。「酸化ストレスと疾患」については、既に基礎医学において疑う余地のない根拠とエビデンスが蓄積されている。これらが臨床現場で積極的に応用され、体系的な臨床研究や治験を行うことでエビデンスが蓄積され、実際にヒトの健康増進、疾病予防、治療効果につながり、実際の医療現場で大きく貢献することを期待しています。