藤岡和道と中尾秀人
一絨毛膜二羊膜性妊娠は、新生児死亡や障害など、周産期の転帰不良と関連している。さらに、出生後の循環虚脱が周産期の転帰不良と関連していることが示唆されているが、これは十分に調査されていない。我々は、脳性ナトリウム利尿ペプチドの前駆体であるN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドを測定することにより、一絨毛膜二羊膜性双胎の出生後の心臓適応を評価した。以下の知見が観察された。第一に、双胎間輸血症候群を有する一絨毛膜二羊膜性双胎は、出生時に心臓負荷の増加を示し、出生後の循環虚脱に対して双胎両方に対する完全な集中治療を必要とするが、これは胎児鏡下レーザー光凝固によって緩和される。第二に、選択的子宮内発育不全を伴う一絨毛膜二羊膜双胎は、双胎間輸血症候群と比較して出生時の心臓負荷が軽度増加し、心血管適応不良のため双胎両方で集中治療を必要とする場合がほとんどである。第三に、これらの一絨毛膜二羊膜双胎の心臓負荷増加の理由は、選択的子宮内発育不全を伴う一絨毛膜二羊膜双胎と二絨毛膜二羊膜双胎の比較研究で示されているように、双胎間血管吻合による不均衡な輸血である。他の高リスク一絨毛膜二羊膜双胎群を特定するには、さらなる研究が必要である。さらに、一絨毛膜二羊膜双胎の出生後の心血管虚脱を防ぐには、胎児療法を含む新しい治療戦略が必須である。