中山 K、中村 K、石橋 T、佐貫 K、石川 M、京 S
卵巣癌については、発癌メカニズムの違いから近年2つの発癌モデルが提唱されている。低悪性度漿液性癌と粘液性癌はI型、高悪性度漿液性癌と高悪性度類内膜癌はII型卵巣癌に分類される。低悪性度漿液性癌と高悪性度漿液性癌は、形態学的特徴、組織形成の分子メカニズム、臨床的特徴に基づき、それぞれ独立した病態を示すことが報告されている。既存の抗癌剤に抵抗性の低悪性度漿液性癌では、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の構成要素の連続的活性化が観察されており、これらのシグナルを標的としたMEK阻害剤の有効性が実証されている。形態学と分子生物学に基づく卵巣癌の病態解明は、分子標的療法による個別化治療の実現につながる可能性がある。