近藤洋介、横山秀史、松井育夫、宮崎悟
ストマチンはヒト赤血球中の膜タンパク質である。超好熱古細菌ピロコッカス・ホリコシ由来の単量体ストマチンは、α/βドメインとC末端αヘリックスセグメントからなり、結晶構造ではホモ三量体を形成し、さらに9~12量体からなる高次ホモオリゴマー複合体に組織化されている。ストマチンの分子機能をより深く理解するためには、ヒトストマチンがどのようにオリゴマー化し、細胞膜と結合するかという仮説を検証する必要がある。本稿では、ヒトストマチンのαヘリックスセグメントの柔軟性を推定することにより、ストマチン構造からどのような立体配座を生成できるかを報告する。また、ヒトストマチンのオリゴマー構造が細胞膜とどのように相互作用するかをシミュレーションした。その結果、αヘリックスセグメントは柔軟な動きをすることができることが示された。単量体のαヘリックス部分とα/βドメインは平面構造を形成し、三量体のαヘリックス部分は脂質膜に接近することができます。ヒトストマチンの平面構造に基づいて、細胞膜の表面と相互作用する仮説的なオリゴマーモデルを提案しました。オリゴマーモデルは、細胞膜を支える足場タンパク質としてのストマチンの機能をよく説明しています。