国際会計研究ジャーナル

概要

ナイロビ証券取引所に上場する企業の取締役会の多様性と取締役報酬が企業統治構造と財務実績に与える影響の緩和

ベロニカ・ニャティチ

企業の株主は、コーポレートガバナンスの仕組みの効果的な監視役割を通じて、取締役の利己心から保護されることができる。近年の企業スキャンダルや破綻の増加により、メディアや一般のコーポレートガバナンスに対する関心はかつてないほど高まっており、ケニアも例外ではない。本研究の主な目的は、コーポレートガバナンスの統合理論と拡張モデルが、ケニアの上場企業のコーポレートガバナンス構造と財務実績との関係をどのように説明するかについて、理解を深めることであった。データは、自記式インタビューによる質問票という定性的な手法と、研究対象企業の年次報告書の二次資料を使用して収集された。研究の結果は、取締役会の構成、取締役会の多様性、ならびに取締役の報酬と、ROAおよびROEとして測定される財務実績との間に有意な正の相関関係があることを示唆している。さらに、本研究では、監査委員会がROEとして測定される財務実績と有意に負の相関関係にあることを示している。しかし、本研究では、取締役会のリーダーシップ構造と財務実績の間には関係が見つからなかった。それ以外では、取締役会の多様性と取締役報酬の調整効果を個別および組み合わせて組み込んだ統合モデルの調査結果から、取締役会の多様性（女性）と取締役報酬の存在はそれぞれ、取締役会の構成とROEとして測定された財務実績との関係に有意な正の影響を与えたことが示唆されている。しかし、取締役会の多様性の影響は監査委員会と有意に相互作用し、ROAとして測定された財務実績に負の影響を与えた。同様に、この研究では、取締役会の多様性と取締役報酬の結合効果の存在が、取締役会の構成と監査委員会と有意に相互作用し、ROEとして測定された財務実績に影響を与えた可能性があることが示唆されている。