馬場宏、横山明彦
放射線誘発がんと日常生活で観察される自然発生がんの発生率をそれぞれ分析し、数理モデルを構築しました。得られたモデルは、観察された発生率を満足に再現しました。前者のモデルは、放射線によって細胞内の化学結合が損傷し、損傷した細胞ががんに変異するという2段階のプロセスです。後者は、細胞分裂によって引き起こされる1段階のプロセスです。
放射線誘発がんについては、軽度の環境放射線で治癒効果が明確に観察されています。残念ながら、日常生活で観察される自然発生がんに対する軽度放射線の影響に関するデータはありませんが、細胞分裂によるダメージは放射線の衝突によるダメージよりはるかに大きいはずなので、損傷した細胞が軽度放射線の影響を受ける可能性は高いと考えられます。