川上 豊
我々は以前、甲状腺ホルモン(TH)処理によりニホンウナギ( Anguilla japonica )の早期変態を誘導し、人工的にシラスウナギを生産したことを報告した。本研究の目的は、TH処理により生産された人工シラスウナギが成長し、生殖能力を獲得できるかどうかを明らかにすることである。TH処理したシラスウナギは、エストラジオール添加飼料を与えることにより雌性化された。8年間飼育した後、3匹の雌が人工性腺刺激ホルモンにより性成熟に至った。3匹のうち2匹から受精卵と孵化した幼生が得られた。総合的に、我々の研究結果は、TH処理したシラスウナギが順調に成長し、生殖能力を獲得し、繁殖に成功することを示している。