寺崎貴光、高野環、小松和典、岡田健史
【はじめに】急性大動脈解離修復術後、経心尖大動脈カニューレ挿入部位に左室仮性動脈瘤を生じたエーラス・ダンロス症候群の1例を報告する。【症例報告】49歳男性、A型大動脈解離に対し経心尖大動脈カニューレ挿入による全弓部置換術を施行した。初回手術から2週間後のCT検査で左室心尖部に仮性動脈瘤が認められ、さらに2週間で仮性動脈瘤のサイズが増大した。再手術を施行したところ、経心尖カニューレ閉鎖部の縫合離開を認めた。術後経過は良好で、2回目の手術後の遺伝子検査でエーラス・ダンロス症候群と診断された。【結論】エーラス・ダンロス症候群は心筋の脆弱性と縫合離開に起因する可能性があり、エーラス・ダンロス症候群患者に対する経心尖カニューレ挿入は慎重に行うべきである。