駒野由紀子、八木宣宏、南木敏宏
関節リウマチ(RA)は、複数の関節に持続的な炎症が起こるのが特徴です。活動性RAが制御不能になると、身体障害を引き起こし、生活の質を低下させ、合併症が増加します。過去20年間、治療成績の向上、そして最も重要な関節破壊の抑制のために、できるだけ早く積極的な治療を行うことの重要性が強調されてきました。低分子干渉RNA(siRNA)を介したRNA干渉は、高い特異性で遺伝子をサイレンシングする強力な方法です。この技術をRAの治療に応用するには、全身注射でsiRNAを複数の患部関節に送達する手段の開発が重要です。最近の研究では、表面にポリエチレングリコールを備えた中性脂質二重層に包まれたカチオン性脂質二重層とsiRNA複合体からなるコアで設計されたラップソーム(WS)が、関節炎の治療のためのsiRNA送達の潜在的な媒体となり得ることが示されました。 siRNA と WS の複合体 (siRNA/WS) は炎症を起こした滑膜に選択的に蓄積しました。さらに、siRNA を標的とした腫瘍壊死因子-α/WS による治療は、マウスモデルの関節炎を改善しました。この論文では、関節リウマチの治療ツールとしての siRNA の可能性についてレビューします。