長澤まさゆき*、中川隆一、杉田洋一郎、小野恵美、山口祥美、加藤智之、梶原秀樹、滝玲子、原田直茂
小児の呼吸器ウイルス感染に関する観察研究はすでに報告されているが、地域社会において小児と成人を同時に検査した報告はほとんどない。
2020年12月から2021年11月までに呼吸器症状や発熱を主訴として当院に入院または受診した小児248名（15歳未満）と成人5,354名（15歳以上）を対象に、フィルムアレイ呼吸器パネルバージョン2.1を用いた呼吸器ウイルスのマルチプレックスPCR（ポリメラーゼ連鎖反応）検査を実施した。この期間中、RSウイルス（RSV）とパラインフルエンザウイルス3（PI3）の季節性アウトブレイクと、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARS-CoV-2）のパンデミックが認められた。成人では、6.8％（364/5,354）でウイルスが検出され、SARS-CoV-2は228例を占めた。複数のウイルスが検出された症例は2例のみであった。小児では、64.9% (161/248) でウイルスが検出され、75.4% (135/179) が5歳未満でした。26件で複数のウイルスが検出され、すべて5歳未満でした。SARS-CoV-2は6人の子供で陽性でした。RSウイルスは子供と大人の両方で同時に蔓延しましたが、PI3の発生は最初に子供で発見され、3週間後に大人で続きました。ライノウイルス/エンテロウイルス (RV/EV) は、多少の変動はありますが年間を通じて検出され、主に5歳未満の子供と20代から30代の大人で発見されました。これは、子供と親の間でウイルスの相互感染があることを示唆しています。相互ウイルス感染における呼吸器疾患の治療におけるワクチンの有効性に関する調査は継続中です。