中村貴宏、風間智彦、長岡祐希、稲茂康二、麦島英雄、高橋勝利、松本太郎
はじめに:脂肪由来幹/間質細胞(ASC)は、低侵襲性の処置で調製でき、さまざまな血管新生サイトカインを分泌するため、治療用血管新生の有望な細胞源と考えられています。本研究では、ドナーの年齢と継代数がASC馴化培地(ASC-CM)の血管新生活性に及ぼす影響を調べました。
方法:ヒトASC(ドナー年齢5か月~82歳、n = 10)を培養し、継代2、4、6でASC-CMを採取しました。ASC-CMの血管新生活性は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と線維芽細胞を共培養したシステムを使用したチューブ形成アッセイで評価しました。各 ASC-CM 中の血管内皮増殖因子 A (VEGF-A) および肝細胞増殖因子 (HGF) の濃度を酵素結合免疫吸着法で測定した。
結果:ドナーの年齢が 60 歳を超えると、継代 4 回目以降の ASC の増殖能力に影響が及んだ。ASCCM は HUVEC の管形成を著しく促進し、この反応はドナーの年齢の影響を受けなかった。継代 6 回目の ASC-CM は継代 4 回目の ASC-CM と比較して管形成能力が低かったが、その能力は陽性対照 (10 ng/mL VEGF-A を含む培地) と同等であった。ドナーの年齢が 26 歳を超えると、ASC-CM 中の VEGF-A レベルに影響したが HGF レベルには影響しなかったが、VEGF-A/HGF レベルと管形成能力の間に直接的な相関関係は見られなかった。
結論:この結果は、ASC-CM の血管新生活性が継代数に依存して低下するが、ドナーの年齢には依存しないことを証明している。