浅井雄一郎、小林裕子、小林一成
植物感染時に病原菌の増殖を促進する宿主植物感受性遺伝子は、耐病性育種の魅力的なターゲットです。Botrytis cinerea 感染時のトマトの感受性遺伝子候補を探索するために、全 31 個のトマト SlSWEET 遺伝子の中から、真菌感染に反応する SWEET 遺伝子をスクリーニングしました。壊死前段階 (接種後 16 時間) で B. cinerea によって誘導されたのは SlSWEET15 遺伝子のみでしたが、他の SWEET 遺伝子のほとんどはダウンレギュレーションされました。SlSWEET15 の発現は接種後 16 時間までに一時的に増加し、その後接種後 24 時間までに基礎レベルまで減少しました。トマトのブドウ糖とスクロース含有量を測定した結果、
感染子葉の壊死前段階(接種後 20 時間)の無質液。感染子葉の無質液の糖含有量は、接種前と比較して有意に高かった。さらに、グルコースとスクロースは、in vitro と in vivo の両方で B. cinerea の成長と侵入を促進することができる。推定された SlSWEET15 を含むクレード III の SWEET タンパク質は、よく知られた糖排出トランスポーターである。これらの結果は、SlSWEET15 が B. cinerea によって誘導され、菌類がこれを利用して、トマトの感染の壊死前段階で糖を供給し、菌糸の成長を促進する可能性があることを示唆している。