斉藤 明、斉藤 栄*
背景:意図的再植術とは、口腔外で歯の根管治療を行うために歯を抜歯し、根尖病変がある場合は掻爬し、その病変を歯槽内に植え込むことである。意図的再植歯の失敗原因として最も一般的なのは、歯周靭帯損傷による外部吸収と強直である。我々は、健康な歯周靭帯由来の増殖細胞が損傷部位を覆うことができれば、移植および再植術の成功率が上がり、その適用範囲が広がると仮説を立てた。本研究の目的は、体外で培養した残存歯周靭帯付き根を下顎骨腔内に移植した後の治癒に対する組織培養の影響を組織学的に評価することであった。
方法:ビーグル犬5匹の切歯20本を抜歯し、バーを用いて40本のトリミング根(4.0×3.0 mm)を作製した。切除した根30本については根面の歯周靭帯を温存し、残りの10本については根面の歯周靭帯を除去した。歯周靭帯が残存する切除根30本を、培養順序に応じて0週(培養なし)、2週、4週の3群に分けた。培養期間後、下顎に作製した骨空洞に根を移植した。術後4週間で、組織学的分析のために標本を調製した。
結果: 0週群では、10例中3例で強直が観察された。しかし、2週群と4週群では強直は全く起こらなかった。しかし、3群間でいずれのパラメータ(正常歯周組織、強直、表面吸収、炎症性吸収)にも有意差はなかった。
結論:歯の抜歯中に生じた機械的損傷が強直の原因である可能性がある。歯根表面全体を培養した歯根膜由来細胞で覆い、癒着を防ぐことができれば、意図的な再植やインプラントの成功率が向上する可能性があります。