柳つかさ、加倉香恵、都築隆史、一志宏太、谷口祐介、広藤隆生、木戸博文、米田正博
背景:スポーツ用マウスガード(MG)は破損や紛失などにより頻繁に作り直す必要があり、再印象採得や模型の保管に問題が生じる。また、製作中のさまざまな影響により厚みに差が生じるため、再現精度にも問題が生じる。そこで我々は、これらの問題を解決するためにデジタル技術を用いることで、再現精度の高いMGを製作できるのではないかと考えた。本研究の目的は、3Dプリンターを用いて高弾性ゴムMGを製作できるかどうか、またその精度について検討することである。
材料と方法:本研究では、マスターモデルとして、既製の石膏模型を使用した。歯科用スキャナを用いて石膏模型をスキャンし、石膏模型のSTLデータを得た。次に、そのSTLデータ上にソフトウェアを用いて厚さ2.5mmのMGを設計し、3Dプリンターを用いて高弾性シリコーンゴムMG(デジタルMG)を製作した。コントロールとして、厚さ4mmのEVAシートで作製した従来型マウスガード(CMG)を作製した。左右の内歯唇側と咬合面、第一大臼歯頬側、咬合面の合計8箇所の厚さを測定した。それぞれの厚さを平均±標準偏差(mean±SD)で表し、グループごとに統計学的解析を行った。
結果:測定結果は、CMGsグループで2.49±0.22mm、Digital-MGグループで2.51±0.04mmであった。CMGsグループでは部位特異的な有意差が認められたが、Digital-MGグループでは差はなかった。Digital-MGは設計通りの形状であった。
考察と結論:模型の保管や再印象の問題があることから、光印象や3Dプリンターなどのデジタル技術のMG製作への適用は有用であると考えられ、製作精度に問題はないと考えられる。これにより、再現性の高いMGの製造が可能となり、MG研究の精度向上につながると考えています。