山本 章一、吉田 裕明、大久保 正、澤井 博文、森田 章介
背景:本研究は、ポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA)を配合した新しいスプレー型口腔保湿剤の効果を評価することであった。γ-PGAは、グルタミン酸単位の繰り返しのみを含む擬似ポリアミノ酸に分類することができる。豊富なγ-PGAを含む発酵大豆健康食品である納豆から枯草菌が分離された。γ-PGAは、自重の数千倍の水分を吸収することができると報告されている。方法:79人のボランティアを2つのグループにランダムに割り当てた。実験群はこの新しい保湿剤を使用し、対照群は何も使用しなかった。保湿剤の効果は、唾液アミラーゼモニターによるアミラーゼ活性、Mucus®による口腔水分、所定時間での刺激唾液流量を測定することにより調査した。結果と結論:アミラーゼ活性において、対照群では有意差はなかった。実験群では、ベースラインと30分後に低下が認められた(p<0.01)。口腔内水分量では両群間に有意差はなかった。刺激唾液流量では対照群間に有意差はなかった。実験群ではベースライン、10、20、30分後に増加が認められた(p<0.01)。これらの結果は、新しい保湿剤が口腔内環境を改善できたことを示唆している。