佐藤貴大、北川翔、木村睦海
背景:門脈圧亢進症患者の十二指腸病変を調査した研究はいくつかあります。目的は、門脈圧亢進症患者の十二指腸血管拡張症を調査することです。
方法: 2009年4月から2012年3月までの間に、十二指腸血管拡張症および門脈圧亢進症の患者60名を調査した。対象者は男性29名、女性31名で、年齢は50歳から84歳(平均67.5歳)であった。十二指腸血管拡張症の内視鏡所見を調査した。出血性十二指腸血管拡張症の症例に対する治療戦略を評価した。
結果:門脈圧亢進症の基礎病理は、56人の患者で肝硬変、3人の患者で特発性門脈圧亢進症、1人の患者で肝外門脈閉塞であった。60人の患者のうち41人は以前に食道静脈瘤の内視鏡的硬化療法を受けており、他の19人の患者は食道静脈瘤の併存リスクが高かった。胃前庭部血管拡張症は29例で認められた。十二指腸血管拡張症の位置は、30例で十二指腸球部、13例で下行部、17例で十二指腸球部と下行部の両方であった。十二指腸血管拡張症の内視鏡的所見は、滲出液の有無にかかわらず点状紅斑(<1 mm)と滲出液の有無にかかわらず斑状紅斑(数 mm)に分類された。内視鏡検査では、60 例中 16 例 (26.7%) に十二指腸血管拡張症からの出血が認められ、内訳は点状紅斑が 6 例、斑状紅斑が 10 例であった。斑状紅斑からの出血は 16 例中 10 例 (62.5%) に認められた。しかし、球部に及ぶ点状紅斑の 43 例には出血が認められなかった。出血性十二指腸血管拡張症 16 例中 6 例に対してアルゴン プラズマ凝固術が成功し、他の 10 例については内視鏡的観察で経過観察された。結論: 門脈圧亢進症患者の十二指腸血管拡張症は、門脈圧亢進性十二指腸症の病変の 1 つであると考えられる。