松尾 佳則
ヒストン置換とエピジェネティクスの進化を理解するため、ヒストンをコードするショウジョウバエの H2A および H2AvD 遺伝子の進化的変化を、12 種のショウジョウバエの配列を使用して分析しました。ヒストン スレオニン キナーゼをコードする Ball 遺伝子は、7 種のショウジョウバエで H2AvD 遺伝子と直接向き合って位置していました。H2AvD 遺伝子の上流領域には、強く保存された DNA 配列も見つかりました。この配列は、上流に Ball 遺伝子を持たない他の 4 種のショウジョウバエでも保存されていたため、転写シグナルである可能性が最も高いです。カルシウム結合ドメインをコードする SPARC 遺伝子は、研究した 11 種のショウジョウバエで H2AvD 遺伝子の下流領域に、尾同士で向き合って位置していました。H2AvD 遺伝子領域の最初のイントロンのスプライシング部位には、中程度に保存された DNA 配列が見つかりました。 H2A 遺伝子と H2AvD 遺伝子では、17 個のアミノ酸のうち 11 個で異なるコドン使用法が見つかり、アミノ酸では置換ヒストン (H2AvD、H4r、H3.3A、H3.3B) に特徴的なコドン使用法が見つかりました。H2A 遺伝子のいくつかのヒストン修飾部位では、コドン使用法がかなり異なっていました。これらの結果は、H3.3 遺伝子や H4r 遺伝子とは異なり、H2AvD 遺伝子では転写後制御だけでなく転写制御も役割を果たしていることを示唆しています。スプライシングや翻訳などの転写後制御に加えて、ヒストン置換とエピジェネティック システムの進化の過程で、転写の制御システムが発達したに違いありません。