リファルディ
1996年3月に南八代海の74地点で重力式コアラーを用いて底質を採取した。生息する底生有孔虫群集と環境条件との関係を明らかにすることを目的として、 73本のコアサンプルの最上層1cmに認められた生息する底生有孔虫の
優占種に基づいてQモードクラスター分析を行った。この研究の結果、生息する底生有孔虫は中央部に多く見られ、その一方で北部と南部には少ないという傾向が示された。研究対象海域は、114属469種の生息する底生有孔虫で特徴づけられる。海洋学データ、機械分析データおよび堆積速度に基づく海洋環境の5つの区分に関連して、南八代海の有孔虫群集は5つの集団にグループ化された。集団Iは海峡付近の強い潮流と底質流の影響を受ける海域に生息する。集団IIは海峡を流れる水塊の影響を受ける海域(雁ノ尻瀬戸、黒野瀬戸)に生息する。集団IIIは海域の北部と南部の比較的停滞した水塊の海域に生息する。集団IVは海域の北東部と南東部に位置し、河川水の影響を受ける海域に生息する。集団Vは北東部に位置し、北八代海から南に流れる水塊の影響を受ける沿岸域に生息する。