ランギン・アバシ、マリアム・アクラギ、モハマド・アリ・オシャギ、アミール・アハマド・アハワン、モハマド・レザー・ヤグービ=エルシャディ、ロウナク・バクティアリ、ファテメ・モフタラミ
背景: Enterobacter cloacae subsp. dissolvens 細菌は、人獣共通皮膚リーシュマニア症の主な媒介生物であるPhlebotomus papatasiの腸内微生物叢の既知の共生菌であり、サシチョウバエにおけるパラトランスジェネシスの候補となっています。本研究では、改変されたE. cloacae がP. papatasiで「トロイの木馬」として機能する可能性について、その動態と適応コストを評価しました。
方法:常に活性な発現赤色蛍光タンパク質プラスデフェンシン (EC-DR) プラスミドで形質転換されたE. cloacaeの遺伝子組み換え株を、幼虫の餌を介してサシチョウバエのコロニーに与えました。野生型の細菌 (EC-WT) と無傷の餌を対照として使用しました。サシチョウバエの幼虫のさまざまな発育段階での EC-DR の適応特性と動態を、均質化した標本をプレーティングし、Tet-BHI 寒天培地上で蛍光発現コロニーを数えることによってテストしました。
結果:赤色蛍光タンパク質を産生する Enterobacter cloacae DR は、細菌を幼虫ポットに一度添加すると、36 日後に幼虫の腸から分離できました。複数回適用した EC-DR は、第 2 齢幼虫、蛹、成虫の羽化時間に悪影響を及ぼしませんでしたが、P. papatasi幼虫の死亡率をわずかに増加させました。この実験では、 P. papatasiにおけるE. cloacae DRの移行期を越えた伝播が欠如しているか、弱いことも確認されました。これは、 P. papatasiの摂食行動と生存に対する適応コストが最小限です。
結論:この研究の結果、E. cloacae DR は、種間伝達を行わないため、成虫段階でのみP. papatasiのパラトランスジェネシスに適していることが示されました。