血管医学および外科ジャーナル

概要

慢性腎不全患者における腸骨大腿静脈石灰化病変の経時的進行

江藤幸樹、久保洋司、剣持礼子、松本光明

今回我々は、慢性腎不全と二次性副甲状腺機能亢進症の経過観察中であった64歳男性の浮腫と下肢の倦怠感を主訴として当科を受診した症例を報告する。深部静脈血栓症の治療歴はなかったが、コンピュータ断層撮影（CT）で下半身の静脈に広範囲の石灰化が認められた。末梢静脈石灰化は稀な疾患であり、進行が遅いため、石灰化の進行過程を画像化することは困難である。本症例は、末梢静脈石灰化の診断と治療にCTが有用であることを示唆するものである。