田口暁、上村幹雄、杉野紀之、内田啓一、北村裕、池上翔太、中村幸雄、内山茂晴、加藤裕之
研究の背景: 身長低下と脊柱後弯は、高齢者の骨粗鬆症性椎体骨折の有用な代理マーカーである。高齢者の歯の喪失も骨粗鬆症と関連している。これらは、自己申告によるこれらの指標が高齢者の歯の喪失と関連している可能性があることを示唆している。本研究は、日本の高齢者における自己申告による身長低下と脊柱後弯と歯の喪失数の関連を明らかにすることを目的とした。対象と方法: 日本の松本市の調剤薬局を訪れた患者のうち、50~97歳の307名(男性75名、女性232名)が本研究に参加した。彼らは、歯の喪失に関連する共変量を含む構造化質問票に回答した。自己申告による身長低下と脊柱後弯は、なし、軽度から中等度、重度の3つのカテゴリーに簡単に定義された。結果:共変量を調整した共分散分析の結果、自己申告による身長低下の3つのカテゴリー間で、合計または過去1年間の歯の喪失数に有意差はなかった。自己申告による3つの脊柱後弯症カテゴリー間で、合計の歯の喪失数に有意差が認められた(p<0.001)。重度の脊柱後弯症を自覚していた被験者は、脊柱後弯症がないと自覚していた被験者(8.7 ± 0.6、p<0.001)および軽度から中等度の脊柱後弯症を自覚していた被験者(8.3 ± 0.7、p<0.001)よりも、有意に多くの歯の喪失数(平均±SEM、16.1 ± 1.8)を示した。さらに、自己申告による3つの脊柱後弯症カテゴリー間で、過去1年間の歯の喪失数に有意差があった(p=0.031)。重度後弯症を自覚している被験者は、過去1年間に失った歯の数(0.9 ± 0.2)が、後弯症を自覚していない被験者(0.3 ± 0.1、p = 0.03)よりも有意に多かった。結論:私たちの結果は、重度後弯症を自覚している日本の高齢者は、重度後弯症を自覚していない人よりも多くの歯を失う可能性があることを示唆している。