永田 哲*、藤野 裕、當銘 和、シャオ ロン、山口 哲、奥村 哲、小松 和、島田 裕
目的:複数の癌治療の併用により死亡率は低下したが、重篤な副作用を引き起こすことが多く、副作用の少ない新しい治療法が望まれていた。本研究では、ヒバ(Thujopsis dolabrata)からの精油製剤が胃癌細胞に対して抗腫瘍効果を発揮することを実証した。 方法
: MKN45胃癌細胞をヒバ精油(HEO)全体またはHEOの揮発性成分とともにインキュベートし、MTTアッセイで腫瘍増殖阻害を評価した。 これらの癌細胞のアポトーシス変化もTUNEL反応で分析した。ヌードマウスを使用して、胃癌腫瘍増殖および腹膜播種性 転移モデルを確立し、HEOの揮発性成分を4週間吸入した後の腫瘍容積および腹膜播種数を評価した。さらに、ヒバの抗腫瘍成分の1つであるヒノキチオールの抗腫瘍効果を比較した。
結果: HEO処理はMKN45胃癌細胞における腫瘍増殖およびアポトーシスの抑制を誘導した。HEOの揮発性成分もMKN45細胞における増殖を抑制し、アポトーシスを誘導し、in vivoマウスモデルにおける腹膜播種および転移を有意に減少させた。HEOの成分であるヒノキチオールは、HEO製剤全体よりも弱い腫瘍増殖抑制効果を示した。
結論:本研究は、HEO、特に揮発性成分が胃癌の抗腫瘍活性を有することを示している。また、ヒノキチオールだけでなく他の成分も抗腫瘍因子としての役割を果たす可能性があることも明らかにした。