米田正博、鈴木奈央、広藤隆生
表面反応済みグラスアイオノマー(S-PRG)を含むコンポジットレジンが、歯科治療において充填材やその他の歯科材料として広く使用されるようになりました。このミニレビューでは、さまざまな口腔細菌に対するS-PRGの抗菌活性について簡単にまとめます。口腔内のプラーク形成に対するS-PRGの阻害効果が観察されています。S-PRGによってストレプトコッカス ミュータンスの付着が阻害されることが示されています。S-PRG溶出液はバイオフィルム形成を阻害し、唾液の成熟多菌性バイオフィルムを破壊するため、S-PRGはう蝕予防にも有効であると考えられています。S-PRG溶出液は、最も重要な歯周病細菌の1つであるPorphyromonas gingivalisのプロテアーゼおよびゼラチナーゼ活性を抑制しました。P. gingivaliとFusobacterium nucleatumによる共凝集もS-PRG溶出液によって阻害されました。他の研究では、S-PRGを含む歯内シーラーが一部の歯内細菌に対して抗菌効果を持つことが示されています。S-PRG溶出液による口腔洗浄も口臭の発生を減らすのに効果的でした。このように、S-PRGには抗菌効果があり、さまざまな歯科材料にさらに応用され、口腔疾患の予防に貢献するでしょう。