野尻俊輔、藤原啓、新海昇、遠藤美緒、城貴志
症例は70歳女性で,胃静脈瘤出血に対しバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)を施行したが奏効せず,主血流遮断を目的に経皮経肝塞栓術(PTO)を施行した。術後5日目に突然白血球数と血小板数が著しく減少し,CT検査で脾腫がPTO後に急速に増悪していることが判明した。胃静脈瘤への血流が依然残存していたため,門脈血流減少を目的に部分脾臓塞栓術(PSE)を施行した。しかし胃静脈瘤からの再出血が起こったため,ヒストアクリルによる塞栓術を施行した。PTO後の門脈圧亢進症は比較的よくみられる事象であるが,白血球減少を伴う巨大脾腫が短期間に発症した例は報告されていないため報告する。